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インボイスとINVOICE 請求書はタイトルではなく内容で判断

「INVOICEと書いてあるから、てっきりインボイスの請求書だと思っていた!」

支払先から受け取った請求書に「INVOICE」と書かれていたとしても、その請求書がいわゆるインボイス制度上の条件を満たした「インボイス」かどうかは分かりません。

必要な事項がちゃんと書かれているか、内容をチェックする必要があります。

目次

請求書にINVOICEと書かれていたらインボイスか?

以前、お客様の経理資料をチェックしていたときのことです。

その方は源泉所得税を差し引く必要がある報酬の支払いが多い仕事をされています。

報酬にかかる源泉所得税の金額の集計のために管理表を作成されているのです。

その管理表には相手先がインボイス(適格請求書)の登録事業者であるかどうかを記録しておくための列がありました。

新しい支払の相手先が追加されていたので、管理表に入力されている情報と元の請求書を突き合わせてチェックしていると、ふと気づきました。

請求書はインボイスの要件を満たしていないのに、管理表ではその相手先はインボイスの登録事業者となっていたのです。

お客様に聞いてみると、「請求書にインボイスと書いてあったので、てっきりインボイスだと思っていた」とのことでした。

よく見ると確かに日本語で「請求書」とタイトルが書かれている下に「INVOICE」とアルファベットで表記があります。

しかし、登録番号は載っていないし、請求金額について消費税の記載もありません。

この請求書は「インボイス=要件を満たした適格の請求書」ではありません。

お客様には、

・おそらくこれは相手先が使っている請求書のテンプレートにデザイン上英単語のinvoiceが使われているだけで、これでインボイスかどうか判断できるものではありません。

・受け取った請求書がインボイスかどうかは、登録番号や取引の年月日、適用税率や消費税額など必要事項が記載されているかで判断する必要があります。

とご説明しました。

ネットで「請求書 テンプレート」で検索すると、様々なテンプレートが出てきますが前述の請求書のように「INVOICE」という英単語が使われているものがあります。

もちろん海外の取引先に送る請求書だったり貿易取引に関するテンプレートなどもあるのですが、中には普通の日本語をベースにした請求書テンプレートで、英語の読み仮名やデザインとしてINVOICEが使われているものもあります。

インボイス≒INVOICE

受け取った請求書に「INVOICE」と書いてあるから「インボイス」であると判断した…。

こういったことが起こるのは「インボイス」という不思議な通称が制度上で使われているからでしょう。

英語の単語「invoice」は単純に請求書を意味します(あるいは請求書の機能を果たす取引明細・納品書)。

元々は送り状を意味するようですが。

一方で、2023年10月1日に日本で「適格請求書等保存方式」という消費税の制度(インボイス制度)が始まったとき、「適格請求書」という言葉の通称として、前述の英単語「invoice」のカタカナ語としての「インボイス」が使われました。

別に誰かが勝手に言いだした、ということではなく国税庁が広く周知しやすいように通称として使用したのです。

個人的には制度が始まったときから、ちょっと違和感がありました。

「invoice」を直訳すると請求書です。

カタカナ語にしたからといって同じ単語なので「インボイス」も単なる請求書のはずです。

しかし、実際には「インボイス」という通称は「適格請求書=法律で定められた記載要件を満たす請求書」を指しています。

英単語の「invoice」とカタカナ語の「インボイス」は、どちらも”請求書”を指していますが、示している範囲が違うということですね(ややこしい…)。

なので、請求書のタイトルとして「INVOICE」が使われていること自体は間違いではないのですが、それが日本の制度でいうところの「インボイス」かどうかは別の話で、正しく判断するには書かれている内容をチェックする必要があります。

インボイスかどうかは中身を確認

請求書が適格請求書(インボイス)かどうかは、記載事項がすべてそろっているかで判断します。

ここでは、長くなるので制度の詳細は省きますが、次の事項が記載されている必要があります。

  1. 書類作成者の氏名または名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額及び税率
  5. 税率ごとに区分した消費税の金額
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

たまに登録番号だけ探して、書いてあればインボイスと思っている方がいますが、それだけでは不十分ですので注意が必要です。

意外と請求書の発行日は書いてあっても、取引があった日が書かれていなかったりということもあります。

まとめ

「インボイス」は、英語のinvoice(請求書)をもとにしたカタカナ語で、消費税の制度上の通称です。

正式名称は適格請求書等といいます。

まれにINVOICEというタイトルの請求書を受け取ることもありますが、そのタイトルだけで請求書が適格請求書(インボイス)であるかどうか判断できるわけではありませんので、中身をしっかりチェックすることが肝心です。

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