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税金をクレジットカードで払うのはトクなのか?

税理士としてお客様と接し、お金にまつわることに関わっていると、日常においてトクをする方法を色々と知っているのではないか、と期待されることもあります。

実を言うと、私はそこまでトクする方法について詳しいわけではありません。

お客様が税金で損をしないように、適度な節税を提案しながら、税務のアドバイスや会計を通じて適正な申告をサポートするのがメインの仕事です。

日常生活での「トクする方法」ということでいうと、むしろお客様に教えてもらうことも多いです。

今回は、お客様との話がきっかけで税金のクレジットカード納付のトクを考えた話です。

目次

カードで税金を払ってポイントを獲得する

世の中には色々なポイント活用術などがありますが、私は割と無頓着でした。

以前の勤務先でのお客様との会話の中で「クレジットカードでの決済をうまく活用してポイントだけで旅行に行く人が居るんだよ」という話がありました。

普段あまりこういう方面の話に疎い私ですが、「旅行」のワードがフックになって興味を持ち、話に出たマリオットボンヴォイ・アメックスカードを使ってみることにしました。

アメックスが発行する、マリオットホテルグループと提携したクレジットカードで、同グループ系列のホテル宿泊に関連して色々な恩恵が受けられるという触れ込みです。

このカードのトクする主な要素としては次のようなものです。

  1. ポイント還元率が高め(3%。プレミアムカードの場合)
  2. 年間にカードを利用した一定額の決済を達成すると無料宿泊特典が獲得できる。
  3. 系列ホテルで客室アップグレードなどが期待できるゴールド資格が自動で獲得でき、年間決済額を達成すると更にプラチナ資格にランクアップする。

色々とありますが、やはりクレジットカードなので、いかにポイントを稼ぐかというところが焦点でしょう。

いくらポイントが付くと言っても、無用な買い物を増やして支出が増えていってはトータルでお金が減っていってしまいます。

トクを感じるのは、いずれにせよ払わなければならないものの払い方を工夫するだけでポイントが付くといった場合です。

そういった意味では税金を払ってポイントが付くなら良いですよね。

国税や地方税について、クレジットカード納付サイトやスマホアプリ納付など、クレジットカードで支払うことができる仕組みが以前と比べると増えています。

こういったものを利用して税金を支払うと、システム手数料はかかりますが、ポイントも付きます。

付いたポイントがシステム利用料を上回る場合はその差額分トクをするということです。

私もマリオットボンヴォイカードを持ってから、日々の支払や継続する支払をカードに集約し、税金もなるべくクレジットカードで支払うようになっていきました。

条件はだんだん悪くなる

はじめのうちは、これってトクしているな~と思いながらクレジットカード決済をしていました。

ただ、世の中ってトクすることはいつまでも同じようには続かないんですよね。

私がはじめたのが遅かったというのもあります。

次第にカードの利用を取り巻く条件が悪くなっていきました。

システム利用料が高くなる

税金をクレジットカードで支払うと、カード決済のシステム利用料がかかります。

カードのポイント還元率がシステムの利用料を上回っている間はわずかながらトクをします。

マリオットボンヴォイアメックスカードの通常還元率が3%とすると税金の支払などの場合は還元率が減少して1.5%(改定前)となります。

一方、国税をクレジットカードお支払いサイトを使ってカード納付すると約0.83%の利用料がかかりました。

トクするのは差額の0.67%です。

このシステム利用料の率は2025年1月から値上げとなり、約0.83%→約0.99%となっています。

※地方税の場合、東京都では最初の1万円までは37円、以降1万円ごとに75円がかかります(消費税は別途)。

もともとトクする割合が大して大きくなかったところが、更に小さくなって約0.5%になってしまったわけです。

カードの規約が不利な方向に改定

前述のマリオットボンヴォイアメックスカードの話ですが、2025年8月に大幅な規約の改定がアナウンスされました。

「大幅改悪!」ということで結構騒がれていましたね。

主な変更点は次のようなところでしょうか。

  1. 年会費が大幅に高くなった(49,500円→82,500円)
  2. 無料宿泊特典獲得に必要な年間カード利用額が上がった(150万円→400万円)
  3. 税金をカードで支払う際のポイント還元率が下がった(1.5%→0.5%)

要するに価値を維持するためのコストが大幅に上がったということですが、税金の支払ということで言えば注目すべきは3番目の変更です。

ポイント還元が0.5%でシステム利用料が約0.99%ですから、利用料コストが逆転してしまいました。

トクするどころか損してしまいます。

この新しい還元率は2025年10月28日利用分から適用されます。

システム利用料をくつがえせる還元率のカードもあるのかもしれませんが、残念ながら私は把握していません…。

30万円超の納税

クレジットカード決済そのものの話ではないのですが、カード利用者にとってトクするやり方があります。

国税の納付方法の一つとしてスマホアプリ納付というものがあります。

このスマホアプリ納付、支払い方法としてAmazon Payを選択することが出来ます。

あらかじめクレジットカードでアマゾンギフトカードを購入しておいて、その残高を使ってAmazon Payから税金を支払うことができるのです。

こうするとギフトカードの購入時にカードのポイントが付き、更にスマホアプリ納付には手数料がかからないので、大きくトクすることができます。

この方法は税額が30万円以下でなければ使えないという制約がありました。

しかし、税額が30万円を超える場合でも「スマホアプリ納付の手順を複数回繰り返す」という方法で回避することが実質可能でした。

例えば税額が100万円だったとして、30万円の納付を3回、10万円の納付を1回行うことで前述のメリットを実現することが出来たのです。

高所得で納税額が大きい方たちはこの方法を使ってメリットを享受することが出来ました。

ところが2025年2月、この方法が使えなくなりました。

e-Taxの申告から経由した形からでなければスマートフォンアプリ決済のページに入れない、という仕組みの変更により、封じられてしまったのです。

もともと30万円以下の金額の税金であれば、現在もこの方法は有効ですが、税金が高額になる方にとってはトクする手立てが一つなくなってしまったということです。

まとめ

表題の「税金をクレジットカードで払うのはトクなのか?」

結論から言うと、トクする余地はあるけれどもその余地はどんどん狭まっている、というところでしょうか。

ポイント獲得が期待できないならば、ダイレクト納付やスマホアプリ決済(預金口座からの)などの利用料がなく、手間なく納付できる手段の方が良いでしょう。

個人的にはお客様とのお話をきっかけにして、カードやポイント利用について興味を持ったことで、税金の支払方法について知識を得られたことは一つの収穫でした。

カードの大幅な改定には少しびっくりしましたが、「そんなものか」とも思いました。

早くに始めてメリットをずっと享受してきた人達からすると、始めてあまり時間が経っていなかったため、まだそのメリットが当たり前化していなかったためかもしれません。

むしろ、ずっとトクを続けられることなど少なく、メリットが大きいものほど目をつけられて移り変わっていくということを身をもって体験できたのは良かったです。

カード活用術が好きな方はここから次の最善のカードなどを吟味されるのでしょうが、私は一旦落ち着こうかなと。

トクを追求することは大事ですが、そこに時間や心などのお金以外のリソースをどこまで割くかは、人それぞれの価値観によります。

得られる利益と手間とを考慮して、自分に合ったやり方を模索したいものです。

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