会社の決算対策、節税策として良く使われる制度として、倒産防止共済(セーフティ共済とも)というものがあります。
中小企業の節税策として良く使われる倒産防止共済ですが、加入するためには1年以上事業を継続していることが条件になっています。
会社を設立したばかりのタイミングだと、最初の年度は事業を1年以上行っているわけではないので、加入できないということになりますが…
個人事業からの法人成りだと個人事業の期間を合わせて考えることができます。
倒産防止共済とはどんな制度か
もともとの趣旨としては企業の連鎖倒産を防ぐことを目的とした制度です。
取引先が倒産することによって売掛金を回収することができなくなった企業も資金繰りが悪化して倒産してしまい、そしてまた次の企業も…というような状況が連鎖倒産です。
このような状況を防ぐため、共済に加入して掛金を支払っている企業の取引先が倒産してしまった場合、それを理由として今まで払ってきた掛金の10倍までの金額を迅速に・有利な条件で借りられるというのが、倒産防止共済の仕組みです。
掛金は月額5,000円~200,000円までかけることができ、1年分でいうと6万円から240万円かけることができます(支払い方を工夫することで一時的に約2年分払うこともできます)。
この掛金は掛け捨てではなく、解約すれば戻ってきます。
※ただし掛金を支払った期間によって制限があります。
払った期間が12ヶ月未満だと戻ってくる金額が0になってしまい、39ヶ月までは支払った総額に対して
戻って来る金額が目減りしてしまいます。
支払った金額が100%戻ってくるようにするためには40ヶ月以上掛金を支払う必要があります。
どこまでも掛金を積み増しできる、というわけではなく、トータルで800万円まで支払うとそこが頭打ちとなります。
この倒産防止共済、前述のようにもともとの趣旨は企業の連鎖倒産防止であるわけですが、実際には中小企業の「節税策」として広く使われています。
というのも、加入期間の制限はあるものの、解約したら戻ってくるのでお金を預けているようなものなのですが、その掛金を支払った=お金を預けた金額を、その年の費用にすることができるのです。
通常、預金口座にお金を預けたとしても費用になんてならないと考えると、お金を預けるだけで全額費用になるわけですから、とてもお得に感じるところです。
その年度の利益が500万円だったとして、倒産防止共済を年間MAXの240万円年払いで支払うと、その240万円がまるまる費用になるので500万円から240万円差し引いた260万円について税金がかかることになります。
税金がかかる所得を240万円圧縮することができるので、「節税」だというわけです。
ただ、注意点としては積んできた掛金を解約して受け取ると、それは収入となって税金がかかってきます。
費用にして終わりというわけではないんですね。
支払った掛金を費用にして税金を減らしてきた分、戻ってきたときには税金を増やす方向に働くので、トータルでの負担は変わらず税金を払うタイミングを先送りしているだけとも言えます(各タイミングで適用される税率による差は生じる可能性がありますが)。
とはいえ、赤字のときに解約して収入を相殺しつつキャッシュに変えたり、それこそ本来の目的の取引先倒産のリスクに備えるという役割もあるので、「調子が良いときに掛けておいて目下の税金の支払を抑えつつ、調子の悪くなったときに備える」手段としては意義があります。
加入するためには条件がある
と、このような倒産防止共済ですが、誰でもが加入できるわけではなく条件があります。
細かい条件の説明は省きますが、主な条件としては資本金の額や雇っている従業員の数が業種ごとに決められた一定数以下になっていることが必要です。
中小企業を対象としているので、加入できる会社のスケールに制限をかけているような感じですね。
とはいえ、例えばサービス業種の基準を見てみると「資本金の額5,000万円以下、従業員の数100人以下」というようになっています。
それなりの規模感ではあるので、気にしなければいけない場面は少ないでしょう。
そのほかに、もうひとつ条件があります。
それは「1年以上事業を行っていること」です。
法人であったとしても個人事業主であったとしても、事業を開始してから1年以上継続していなければ加入することができないのです。
それでは、会社を設立したばかりでまだ1年以上経っていない最初の年度は倒産防止共済に加入できないのでしょうか?
法人成りの場合は個人事業での期間も含まれる
会社を設立して、それまで個人事業主として行っていた事業を引き継ぐことを法人成りといいます。
この法人成りの場合には、先ほどの1年以上という期間は個人事業主としての期間と法人化してからの期間とをつなげて考えます。
共済サポートnavi経営セーフティ共済FAQ 個人事業を法人成りして1年未満(例:半年前に法人成りした)ですが、加入できますか。
つまり、法人化した最初の年度では設立日~申込時までの期間は1年未満だけれども、法人化するまでは個人事業主として3年間営業していたということであれば、通算して1年以上なのでOKということです。
会社を設立したばかりというと、まだ利益が出なかったり資金繰りに不安があったりと倒産防止共済を考えるのは先の話、ということも多いですが、個人事業で十分利益を上げていたうえで法人成りした場合は最初の年度から共済に加入する意義が出てきやすいです。
そんなとき、個人事業での期間を含められるということを知らないと、共済に加入する機会をみすみす逃してしまう可能性があるので注意したいところです。
終わりに
倒産防止共済への申込みは金融機関や商工会議所などの窓口で自分でもできますが、税理士を経由して申し込むことも出来ます。
倒産防止共済は節税策として使われることが多いですが、解約時に収入になってしまうことや、目下の節税になるとはいえ制税額よりも大きい金額の手元で自由に使えるお金を預けることになるなど、いくつか考えるべきことがあります。
加入するか・掛金をいくらぐらいにするかなど、決算の予測を立てながら税理士と相談するのが良いでしょう。
